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2015年10月05日
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中国人向けインバウンド・マーケティングは、中国国内でのブランディングがカギ。

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いまや日本のサービス業の大半は訪日旅行客を完全に無視しては成り立たない状況であることは周知の事実です。中でも「爆買い」というキーワードに象徴される中国人の訪日旅行客の旺盛な購買力は、一時期ほどメディアで取り上げられる機会は減少したものの、相変わらずインバウンドビジネスの最重要ターゲットであることは間違い有りません。東京をはじめとする大都市にも、地方の観光地にも、大勢の中国人旅行客が相変わらず大挙して押し寄せている中、「彼らにどうにかして自社の製品やサービスを購入してもらいたい」そう考える企業やブランドは相変わらず多いことでしょう。

 

表層的な光景だけを見ていると、インバウンド・マーケティングで日本のサービス業の大部分が潤っているようにも見えますが、実態はどうでしょうか?現実には、インバウンド・マーケティングで成功している企業やブランドは一握りでしかないようにも思えます。

 

実は多くの人が、企業が、インバウンド・マーケティングの本質を正しく理解していないのではないでしょうか。自社のホームページを中国語対応にして、店頭に中国語のPOPを設置して、中国語がわかる通訳店員を配置したくらいで、中国人にモノがばんばん売れると本気で思っている企業が、あるいは旅行者向けのメディアやアプリに広告を出したりするだけで、中国人の訪日旅行者向けブランディング施策は十分だと思っている企業が、未だに多いのではないでしょうか。

 

インバウンド・マーケティングは、その本質を正しく理解しないまま付け焼き刃的な施策だけでどうにかなるような甘い世界ではありません。ターゲットである中国人たちが、どのようなプロセスを経て最終的な購買行為に辿り着いているのか、重要なのはそのプロセスを正しく理解し、その上で効果的なプロモーション施策を打つことです。

 

<中国人向けインバウンド・マーケティングの3大ポイント>

 

1)日本に来る前に勝負はついている。中国国内でのブランディングにこそ注力!

 

まず、中国人訪日旅行客たちは、どこで情報収集しているかを考えます。当たり前のことですが、彼らは自国でまず情報収集するわけです。中国で情報収集を行ない、あらゆる口コミ情報を参照し、様々な商品情報やサービス情報を綿密に吟味し、事前に購買リストを作成し、万全の準備をしてから日本に旅行に来るのです。つまり、日本に来る以前の段階で、すでに購買するモノやサービスは完璧に決まっているのです。ましてや大部分の旅行客はFIT(個人旅行)ではなくツアーで訪れるわけで、しかもそのツアーのスケジュールは分刻みでびっしりと埋め尽くされており、自由に行動できる時間は相当に限られています。ゆったりとぶらぶら街歩きを楽しんでいる余裕など、ほとんどないといって良いでしょう。だかこそ、事前にしっかりと情報収集を行ない、買い物リストを作成し、計画通りに購買行動を行なうのです。「爆買い」とはいっても、何も考えずに衝動買いをすることなどほとんどあり得ず、そこには一切の無駄な行動はありません。中国国内でのブランディング活動こそが、インバウンド・マーケティングのすべてといっても過言ではないのです。

 

2)SNS攻略がカギ。“中国で手に入れられない”という価値を、いかに情報拡散させるか?

 

インバウンド・マーケティングを成功させるのに、日本で売れているかどうかという点はさほど問題ではありません。それよりもまず「中国では簡単に手に入れることができないもの」であることが、訪日旅行客にとっての価値なのです。当たり前ですが、中国の国内で買えるものならわざわざ日本まで来て購入する必要はありません。仮にすでに中国に進出して販路開拓しているブランドや商品であれば、中国では販売していないラインアップが訪日旅行客の購買対象の候補になるというわけです。

そして問題は、それらの商品やサービスの良さを、いかに口コミで拡散させるかです。中国はネットユーザーの人口が6.5億人、スマホユーザー数は4億人を超える世界最大のインターネット大国であり、SNSはネットコミュニケーションの代表的な地位を占めてはいます。代表的なサービスを見ても、たとえばマイクロブログの「微博」の個人アカウント数は5.6億人、月間アクティブユーザーは2.12億人を数え、メッセンジャーアプリの「微信」にいたっては個人アカウント数は11億人(中国以外を含む)、月間アクティブユーザーは4.4億人を数えます。これらの巨大なプラットフォームにはすでに海外旅行に関する情報が無数に投稿されており、訪日旅行の攻略に関する情報もふんだんにあふれています。その中で、いかに価値ある情報として自社のサービスを拡散できるか、それが中国でのブランディングの最大の焦点です。

 

3)オピオンリーダーやインフルエンサーたちから、リアルな体験に基づく情報発信を。

 

たとえ微博や微信に公式アカウントを開設して情報発信しても、名も知らぬ商品であればその情報が拡散されることもなく、話題にもなりません。SNS上で話題を喚起させ、情報拡散させるためには、やはり影響力を持ったオピニオンリーダーやインフルエンサーたちの力は無視できません。

たとえば中国の消費者によく知られた著名ブロガーたちに商品を体験してもらい、そのレビューをSNSで発信してもらったり、あるいはブロガーたちを日本に招聘してお店や商品を体験してもらい、リアルな旅行レポートと合わせてSNSで情報発信してもらうという方法もあります。但し中国での口コミ拡散に影響力を持っているのは、何も中国本土のブロガーたちだけとは限りません。中国本土の消費トレンドに大きな影響力を持つ台湾や香港のブロガーたちを起用することで、中国本土だけでなくより広範なエリアへの情報拡散につなげることも可能です。またこれらのインフルエンサーからの情報発信とあわせて、たとえば上海や北京などの中国本土の主要都市で、著名ブロガーたちと共に一般消費者を集めたリアルな商品体験促進の機会等を創出することで、より情報拡散にパワーを持たせることも効果があるでしょう。重要なのは「リアルな体験に基づく情報発信」です。