6

2015年07月31日
LINEで送る

プランナーが「スマホ依存症」に陥っていないか?

bd3bd9d7e7f262631f5bdc6783795626_s

マーケティング目標、ターゲット、コンテキストの3軸で考える、正しいコミュニケーション戦術。

 

「スマホ依存症」という言葉が流行語になるほど我々の生活にすっかり浸透した感のあるスマートフォン。コミュニケーション戦略を考える際にも、スマホ向け施策は欠かせないものとなっています。その一方で「テレビの時代はもう終わった」「誰もテレビなんか見ない」などという極論も少なく有りません。

 

たしかにインターネット環境の劇的な進化により、生活者の情報摂取行動は目覚ましく変化を遂げました。従来の4大メディアの影響力は減少し、変わってネット上のSNSやキュレーションメディアや動画サイトの影響力が飛躍的に増大していることも事実でしょう。

 

そして「スマホ依存症」という言葉にも、「テレビは終わった」という表現にも、どちらにも簡潔で強烈なインパクトがあります。トレンドを語る際にはそういう言葉を使ったほうが、ふつうの人々の関心は引きやすいかと思います。しかし、マーケティングやコミュニケーションに関わる身としてここで注意しなければならないのは、「なんとなくの現象」を根拠にすることでありません。

 

そもそも、生活者のメディア接触の実態はどうなのでしょうか?ほんとうに皆がスマホ依存症だったり、テレビを見なくなったりしているのでしょうか?

 

たとえば東京地区での世代別メディア接触時間に関する、とある調査データを見てみると、全世代平均ではまだまだテレビへの接触時間が圧倒的に多く、携帯・スマホへの接触時間はテレビの半分以下に過ぎません。パソコンへの接触時間は携帯・スマホよりもさらに少なく、パソコンに携帯・スマホやタブレット端末を足したインターネットデバイス全体でやっとテレビよりも少し多くなる程度です。

 

但し世代別に見ると、たしかに10代〜20代の若年層の両カテゴリーではテレビよりも携帯・スマホへの接触率はぐんと高くなっています。

 

10代では携帯・スマホ→テレビ→パソコンの順で、携帯・スマホへの接触時間が最も多く、テレビの約1.2倍、代わりにパソコンはテレビの約半分となっています。20代でも携帯・スマホ→テレビ→パソコンの順で、携帯・スマホへの接触時間が最も高いのは10代と同じですが、テレビとパソコンの差はそれほど大きく開いていません。

 

これが30代以上になると事情はがらっと変わり、まず「テレビ」が1位になります。

 

但し30代ではテレビと携帯・スマホの接触時間はそれほど差が大きく開いてないのに対して、40代になりますと携帯・スマホへの接触時間は一気に減り、パソコンよりもさらに少なくなります。50代〜60代になると恐らく多くの方々の想像通りで、テレビの接触時間は20代の約1.6倍で、モバイル全体では20代の約1/7と圧倒的に「テレビありき」のライフスタイルになっています。

 

結論をいえば全世代平均としては「スマホ依存症」と呼べるほどスマホへの接触時間が多いわけではなく、テレビがまだ第1位のメディアであることに変わりはありません。携帯・スマホが第1位となっている10代〜20代の若年層だけをみても携帯・スマホへの接触時間はテレビの約1.2倍程度でしかありません。

 

もちろんこれは、各メディアへの「接触時間」だけを計った統計データであり、どんなふうに利用しているかといった「接触スタイル」までは見えてきません。

 

もしかするとテレビはつけっぱなしにしていて、集中しているのはスマホやパソコンのほうかもしれません。あるいはテレビで気になるワードが出たら、パソコンやスマホで即座に検索するというスタイルも考えられます。テレビはドラマとバラエティ、パソコンは検索、スマホはSNSとweb動画とキュレーションサイト、と使い分けていることも考えられます。

 

当たり前のことですが、最も大事なことは「マーケティング目標は何か?と」いう原点に立ち返ることです。潜在ニーズにアプローチしてユーザーの「気付き」を促すことか、あるいは顕在ニーズを刈り取ってユーザーの直接購買行動を刺激することなのか。

 

そしてターゲットは誰なのか?世代や性別や職業や収入や地域などのデモグラフィック(属性)にライフスタイル志向などを組み合わせたペルソナ設計をきちんと行うことで、ターゲットの具体像が見えてくるでしょうし、購買決定までのプロセスを緻密に分析・可視化するカスタマージャーニーマップを作成することで、ターゲットがどんなコンテキスト(状況)でどんなメディア接触や情報摂取を行うかといった行動が見えてきます。

 

その上ではじめて「では効くのはスマホ施策かテレビ施策なのか」といった総論が浮上するのであり、あるいはスマホ施策でもWEBニュースかSNS拡散かバイラル動画か、テレビなら広告かパブリシティかプロダクトプレースメントなのか、といったような各論が意味をなしてくるのだといえるでしょう。

 

間違っても私たちコミュニケーションプランナーが最初から「スマホ依存症」に陥ってはいけません。