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2016年02月29日ブログ
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規模はデカいが成長率は低い。メディア価値が正当評価されない日本の広告市場の実態。

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前回のブログで、日本の広告業界の市場規模について触れましたが、では世界の状況はどうなんでしょう?というのが今回のテーマ。

 

前回同様に電通が公表しているデータを見ると、世界第1位はアメリカで約20兆円強、第2位が中国で約8兆円強、日本は第3位で6兆円強、以下はイギリス、ドイツ、フランス、ブラジルといった順にランキングされています。

http://www.dentsu.co.jp/ir/data/annual/2014/pfm/md/index.html

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このあたりはGDPのランキングともほぼリンクしており(GDPはイギリスとドイツが逆ですが)、非常にわかりやすいですね。

 

但しこれを「市場規模」ではなく「成長率」で見るとまた違った事情が見えて来て興味深いです。

 

この「成長率」については電通の海外子会社であるカラという会社が定期的に予測数値を発表しているのですが、全世界の広告市場の成長率は5%弱くらいで、アメリは4.5%、中国は6.5%、イギリスは5.5%という数字が並んでいますが、日本は1.6%にとどまっています。日本の広告市場規模は世界第3位ではあるものの、世界の平均成長率からみると日本はずいぶん低成長の市場であり、それはどうやら先進国だからという理由でもなさそうで(その証拠にアメリカの成長率はほぼ世界平均です)、この数字を見る限り日本の広告市場はちょっと元気が足りない気がしますね。

http://www.dentsu.co.jp/news/release/2015/0924-004166.html

成長率

※ちなみに前回の記事の中で引用した電通発表の数字では日本の広告市場の成長率は前年比0.3%程度でしたが、恐らく上記のカラという会社が発表している統計は、マス4媒体とインターネットと屋外・交通媒体くらいまでしか網羅していないので、若干のズレが生じているものと思われます。

 

また、電通以外の別のソースでは、アメリカの「emarketer」というマーケティング会社が公表しているデータを紹介しているサイトがありましたが、こちらではアジア5カ国の広告市場の成長率を比較したデータが出ています。

http://mediologic.com/weblog/worldwide-ad-spending-by-emarketer/

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これを見ると、広告費全体の成長率は、インドネシアが22%、中国は16%、インドが10%、韓国が4%であるのに対して日本は1%どまり。デジタル広告に絞ってみると、インドネシアは100%、中国は45%、インドが30%、韓国が15%で、日本は13%。モバイル広告の成長率になると、中国の700%という驚異的な数字に続いてインドネシア250%、インド200%、と凄まじい数字が並び、韓国120%、日本50%という結果に終わっています。

 

このデータを紹介している高広伯彦氏というマーケティングコンサルタントの方も指摘されていますが、日本のデジタル領域の広告市場が他国と比べて悲しい状況になっているのは、広告枠の価格帯の違いや広告主の種類の違いなどの理由が挙げられるようですが、中でも日本の場合は「販売チャネルの一環のようにネットを使う、俗にいうコンバージョン重視の広告主が圧倒的に多い」という点を氏は指摘した上で、下記のように述べておられます。

 

———流通コストを低減させるのと同じような理屈で広告枠を仕入れるので、媒体そのもの価値が検討されることはまずない。今はデジタル広告業界で、「枠から人へ」という言葉がよく使われているが、それだけでは媒体側は衰退してしまう。むしろ、単純に「枠」だ「人」だとの捉え方をするのではなく、「枠の周囲にはコンテンツがあり、そのコンテンツに人は集まっているのである」という大前提のもと、メディアのもっているユーザーとのエンゲージメントを換金化できなければ、こうしたランキングサイトで日本はどんどんランクを落とすことだろうーーー

 

たしかにここ1〜2年、日本では「枠から人へ」という言葉がデジタルマーケティング領域で盛んに使われはじめ、特に今年2016年度はその流れが一気に加速するという予測も見られます。デジタル領域でも、枠売り広告やアフィリエイトなどの従来型広告から、より仔細なターゲティングが可能な運用型広告へと新旧の交代が急激に進んでいる流れの中で、それでも「枠」か「人」かという2元的な議論だけにとどまらず、コミュニケーションの原点である「コンテンツ」のあり方をきちんと考え、媒体が生み出す価値が正当評価される流れに向かってほしいと切に思います。

宮内 尚弥投稿者 

宮内ナオヤです。プランニングとクリエイティブディレクションを担当。得意はコンセプトメイキングと、愛と情熱にあふれたプレゼンテーション。標準語、関西弁、中国語を操るトリリンガル。好きなコト&モノ:スキー、登山、カメラ、自転車、温泉巡り、鉄道、キーボード演奏、ファンクミュージック、スイーツ、白米。

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