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2015年12月22日ブログ
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「あなたのことは、好きだ。」1年分の広告コピーを統計・分析して見えてきた今年の世相。

コピー

気がつけば今年もそろそろ終わりに近づき、「1年なんてあっという間だねぇ」なんていうありきたりの言葉を交わす今日この頃です。

 

この季節になると必ず様々な分野で「1年の総括」みたいなことをやるのが常ですが、我々が関わっている広告業界においてもそういう試みがなされました。題して「広告コピービッグデータ解析」。

 

広告業界に従事されている方なら誰もがご存知であろう「東京コピーライターズクラブ(以下TCC)」https://www.tcc.gr.jp/ という団体(日本全国で活躍するコピーライターやCMプランナーで組織された、恐らく世界最大のコピーライター集団であろうという不気味な団体。必ずしもニッポンのすべてのコピーライターが所属しているわけではない)が、この1年間の主要な広告に使用されたキャッチフレーズとなる「コピー」を集約し、最も登場頻度の高い単語に関する統計を分析したもので、今回が初の試みとなります。

 

広告は世の中を写す鏡である、というようなことは昔からよく言われていることですが、つまりその広告で使われている「言葉(=コピー)」を統計・分析すればその1年がどういう時代だったか、ということが垣間見えるんじゃないかということなんですね。世間には様々なアプローチで一年を総括する試みがありますが、これは従来になかったアプローチであり、なかなか面白い試みだと思います。

 

今回、統計・分析の対象としたのは、2015年度のTCC賞(TCCが勝手にその年の最も優れた広告を選ぶ、という大きなお世話的な賞で、ニッポンの広告クリエイターにとってはわりと名誉な存在として認知されてはいるものの、必ずしもこれを獲ったからといって優秀な広告クリエイターであるとは限らないところがミソ)の選考対象になった広告コピー8,119件だそうで、まぁこの時点で「TCC賞の選考対象」というバイアスがかかっているので、「世の中のすべての広告」とはいえないんですけどね、なんていう嫌みなことを言い始めるとキリがないので、話を前に進めますが。

 

具体的な分析方法は以下の通りだそうです。
1)分析対象中に一番よく見られた単語数である、“8単語”を単語数として採用。
2)8単語のコピーの中で一番よく見られる文章構造
「名詞-助詞-名詞-助詞-記号(句点)-名詞-名詞or助動詞-記号(読点)」を文章構造として採用。
3)各単語の語順のプラスマイナス1を範囲に、頻出語TOP10を選出。そのTOP10の内、意味が通じる単語を上位のものの中から選出。

・・・というようなプロセスを経て出た分析結果が以下のコピー。

 

 

あなたのことは、好きだ
このコピーが、2015年を象徴する広告コピーなのだそうです。
元記事:http://cacco.co.jp/findings/tcc_analysis

 

この結果に対して作業を代行した「かっこ株式会社」 http://cacco.co.jp/ では、ウェブやインターネットといった、よりパーソナルなメディアやサービスでの広告表現が増えていった結果、広告が不特定多数の「誰か」から、選ばれた「あなた」に向けて語りかけるものになったことを示していると考えられる、と分析しています。

 

しかも「あなたのことが、好きだ」ではなく「あなたのことは、好きだ」。あくまで、「が」ではなく「は」なんですね。「あなたのことが」という言い方は、極めて断定的で強い表現で、他に言うことは何もない感じがするのに対して、「あなたのことは」という言い方は、少し余韻があり、まだ何か他にも言いたいことがあるんだけれどそれをぐっと飲み込んでいるような気がします。たとえば「いろいろあったけれど、あなたのことは今でも好きよ」とか「あなたのことは好きよ。でもあなたの生き方にはついていけないの」とか(なんか切なくなってきますね:泣)まぁそんな感じのエクスキューズがついてまわるような言い回しですよね。

 

このコピーが2015年を象徴するとしたなら、今年はあまり潔い1年ではなかったということでしょうか。「手抜き工事なんて許せない。でもほんとのところはわかんないよね」とか、「パクるのは絶対良くない。でもぶっちゃけみんなパクってるよね」とか、「安村さんって面白いよね。でもほんとはそんなに明るくないのかも」とか。うーん・・・・なんかちょっとスッキリしないですね。自分が話したあとに必ず「ようわからんけど」って続ける人みたいで(笑)。

 

でもそうかと思えば、松岡修造氏の名言(彼は決して言い訳なんかしない。ひたすら潔いです)が記された日めくりカレンダーが飛ぶように売れたりしているわけで、もしかすると世の中がいまいちスッキリしない出来事で埋め尽くされているからこそ、人々は松岡氏のようなとびきり歯切れの良い発言に、惹かれるのかもしれませんね。

 

さて、あなたなら、このコピーのあとに、どんな言葉を続けますか?

宮内 尚弥投稿者 

宮内ナオヤです。プランニングとクリエイティブディレクションを担当。得意はコンセプトメイキングと、愛と情熱にあふれたプレゼンテーション。標準語、関西弁、中国語を操るトリリンガル。好きなコト&モノ:スキー、登山、カメラ、自転車、温泉巡り、鉄道、キーボード演奏、ファンクミュージック、スイーツ、白米。

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