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2015年08月04日ブログ
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自己満足はクールじゃない。「おもてなし」も「おもいやり」も、基本は「誰かが誰かをおもいやるこころ」にあり。

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一時期ほどではなくなった感もありますが、相変わらずいたるところで「おもてなし」の言葉が目につきますね。

 

日本文化は「おもてなしのこころ」。恐らく多くの日本人もみなそう思っていますよね。いまや訪日外国人の方々も「ニッポンに行けばオモテナシに出会える」と思い込んで来られる方も、きっと少なくないと思います。

 

たしかにこの国では、たいていどんな店でもどんな客に対しても「いらっしゃいませ」「ありがとうございました」と丁寧に挨拶されるし、場合によっては深々とお辞儀までされるし、無愛想な定員は少ないし(たまにいますけどね)、客が少々無理を言っても丁寧に対応してくれるし、仮に客の無理が通らなかったとしても逆に恐縮した顔で「まことに申し訳ありません」と頭を下げられる。コンビニではお釣りを渡すときに手を添えてくれるし、銀行員も満面の笑顔で迎えてくれるし、タクシーを止めればわざわざ降りてきてドアを開けてくれる運転手もいるし、客のせいで電車が遅れたとしても駅員が「ご迷惑をおかけして申し訳ありません」と謝る。財布なくしてもちゃんと手元に戻る確率は高いし、街にはゴミも散乱してなくてとても清潔。

 

海外経験のある人はよくわかると思いますが、諸外国のサービス業ではけっこう客に対してクールな態度をとるケースが多々見受けられます。こちらがよほどのVIPなら別だけれど、ふつうは必要以上に客に媚びることはありません。客に商品を渡すときにも両手じゃなくて片手で渡すなんて当たり前だし、客の求める商品が万が一品切れの場合、日本なら店員が「申し訳有りません」と謝るが、外国では店員が一緒になって「残念ね」と同情することはあっても彼らが謝ることはない。話し方や態度も、悪く言えば「雑」良くいえば「フレンドリー」で、「お客さまは神様」ではなく、どちらかというと「客と店員は対等の関係」という感じが強い。もちろん国によって差はあるし店や業種によっても差はありますが、日本ほど「均質な丁寧さ」がその国中に蔓延している国は少ないと思います。

 

そう。この国はどこへ行ってもみんながとても丁寧で優しい。

 

でも、それって「優しそうに見える」だけの話なんじゃないかと思うことが、ときにあります。本当にいまの日本はそんなに優しさに満ちあふれた国なんでしょうか?

 

たとえば電車の中。

赤ちゃんを抱いた外国人のカップルが乗ってきて優先席の近くで立っています。優先席は満席。彼らに対して席を譲ろうとする人は残念ながらいませんでした。まぁ、たまたま僕が見たときだけそうだったのかもしれませんが。

 

たとえばデパートのエレベーター。

ベビーカー優先のエレベーターの前でベビーカーを引いたお母さんが立っています。到着したエレベーターは満員。しかもほとんどは子連れでもなんでもない人たち。誰も譲ろうとはしません。まぁこれも、たまたま僕が見たときだけそうだったのかもしれません。

 

たとえば駅の切符売場。

(おそらく)アジアのどこかの国の人であろう観光客とおぼしきカップルが、券売機の前でもたもたしています。買い方がよくわからないらしい。となりの券売機では次々に人々が切符を買っていきますが、彼らに声をかけようとする人は一人もいません。(このときたまたま通りかかった僕は切符を買う予定はなかったけれど、声をかけてどうにかこうにか切符は買えました)

 

ここに挙げた例は「おもてなし」という次元とは少し違うかもしれません。どちらかというと「思いやり」という次元の話かもしれません。もちろんこれだけの事例をもって、日本人は冷たい、というつもりも毛頭ありません。ただ、お店やレストランに行けば店員はみんな新設丁寧に接してくれるのに、街の中で出会う光景にはどうもギャップがあるような気がしてならないのです。

 

でも、そもそも「おもてなし」のこころというのは、サービス業の従業員だけに求められる資質ではないと思います。

 

誰かが、誰かを、思いやるこころ。

 

それがおもてなしの基本ではないかと思うのです。そういう意味では「おもてなし」も「思いやり」も本質は同じでしょうか。

 

昨今、「おもてなし」という言葉だけが一人歩きし、なんとなく日本全体が「世界一のおもてなし国だ」というような空気に包まれつつあるような気がしています。いや、「おもてなし」だけに限らず、なんか「日本ってすごい」的な、一歩間違えば自己満足にしか過ぎないようなテーマにあふれている気がしてなりません。メディアも、ネットも。

 

もちろん自分の国の文化に誇りを持つことはとても素晴らしいことだと思います。でもうぬぼれみたいな方向へ走ってしまっては本末転倒。実態の伴わない自己満足はぜんぜんクールじゃないですね。

 

2020年に向けて、これからますます訪日外国人の方々が増えていくかと思いますが、なにも「みんなでおもてなしを!」みたいなことを叫んだりしなくても、特別なことなんかしなくても、誰もが誰かを思いやるこころを忘れないようにしていれば、それだけで十分にニッポンのブランディングになってゆくのだと思います。

 

我々コミュニケーションビジネスに関わる身としても、流行り廃りの言葉遊びに乗っかって、「次のプロモーションのコンセプトは”おもてなし“でいきましょうよ」みたいな軽薄なプランニングをやらないように、気をつけねば。

 

話はちょっと横道にそれますが・・・。

 

コンビニに客が入ってきたらたいてい店員が大声で「いらっしゃいませ!」と元気に声をかけられますよね。これは至極当然の光景です。逆にレジでお金を払うときに僕から店員に対して「こんにちは!」と元気に声をかけると「え?」「はぁ?」と怪訝な顔で見られます。不思議です。欧米でもアジアでも、コンビニのレジで「こんにちは」って挨拶を交わすのはごくスタンダードな習慣なんですけどね。

 

まぁこれも、僕が行ったコンビニがたまたまそうだっただけなのかもしれませんが。

 

おもてなし

宮内 尚弥投稿者 

宮内ナオヤです。プランニングとクリエイティブディレクションを担当。得意はコンセプトメイキングと、愛と情熱にあふれたプレゼンテーション。標準語、関西弁、中国語を操るトリリンガル。好きなコト&モノ:スキー、登山、カメラ、自転車、温泉巡り、鉄道、キーボード演奏、ファンクミュージック、スイーツ、白米。

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