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2015年07月25日ブログ
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“日射病”はどこへ行った?「地球温暖化」とセットで普及した「熱中症」という言葉。

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梅雨明けと同時に連日猛暑が続いています。

 

こんな日には「熱中症に気をつけてください」というアナウンスがあちこちで聞かれるわけですが、この「熱中症」という言葉っていつ頃から流通するようになったのでしょうか?

 

僕が子供の頃には熱中症なんて言葉は聞いたこともなく、夏になると注意喚起されていたのは「日射病」や「熱射病」という症状でした。

 

もしかするとすでにその頃から熱中症という言葉は医学会では使われていたのかもしれませんが、一般社会ではそんな言葉はまったく市民権を得ていなかったような気がします。

 

興味深いのは「熱中症」という言葉の普及とあわせて、それまで市民権を得ていた「日射病」や「熱射病」という言葉はすかり影を潜めてしまった、ということです。いったいどこへいってしまったのでしょうか? 日射病や熱射病は克服され、かわりに熱中症という新たな脅威が現れたのでしょうか?

 

いや、どうも違うようです。

 

実は熱によって引き起こされる様々な病気や症状(軽度から重度までを含めて)の総称として「熱中症」と呼ぶそうなのです。つまり日射病や熱射病がなくなったり克服されたりしたわけではなく、「日射病」や「熱射病」も「熱中症」に含まる、ということなのですね。

 

ではいったいつ頃から、何がきっかけで、日射病や熱射病ではなく総称としての「熱中症」を使うようになったのでしょうか?あまりに気になるので、ちょっと調べてみました。

 

1990年代の後半くらいからちらほらと使われ始めた形跡がありました。なるほど、90年代後半。ちょっとピンときますね。実はこれ、「地球温暖化」という言葉が一般化されはじめたタイミングと重なります。

 

「地球温暖化」という言葉の普及は、1997年に京都で開催された「気候変動枠組条約第3回締約国会議」で、このときにいわゆる「京都議定書(気候変動枠組条約議定書)」が採択されたのがきかっけだったのでしょう。これを機に、ありとあらゆるメディアで「地球温暖化」という言葉が使われ始め、同時にその地球温暖化の事実を一般市民により身近に理解させるための最も簡単な事例として、「夏の暑さによる健康被害」がメディアでも注目されるようになり、そのためには、それまでセパレートされていた日射病やら熱射病やらをひっくるめて「熱中症」と呼んだほうが合理的だということになったのかもしれません。このようにして「地球温暖化」「熱中症」の2大ワードはセットで認知拡大していったのだと思われます。

 

そしてきわめつけは、2001年の夏。

 

この年の8月にアメリカのコーリー・ストリンガーというアメリカンフットボール選手が、ミネソタ州南部のマンケート州立大学で行われていたキャンプ中、脱水症状を起こして死亡した事件が起きました(このときの彼の体温は42℃以上だったといいます)。この事件を機にNFLは熱中症対策を大きく変えることになり、練習メニューや練習中の水分補給や日陰などにも様々な配慮がされるようになったと言われています。そしてこの事故が世界中に熱中症の危険を大きく知らしめることとなったようです。

 

余談ですが、僕が中学や高校の頃(1970年代)は、学校の部活なんか真夏の炎天下での練習でも「水飲むな!」が常識で、みんなふらふらになって「もう死にそう!」って叫びながらグラウンドを走り回っていた記憶があります。エアコンもいまほど普及率は高くなく、扇風機だけで夏を乗り切るなんてごく普通のことでした。でも当時はいまほど夏の暑さで倒れたり亡くなったりする人は多くなかったような気もします。当時の人々は耐性が強かったのでしょうか(笑)

 

さて、このようにして現在ではすっかり我々の日常生活に浸透した「熱中症」という言葉ですが、同時にマーケティングの世界でも「熱中症対策商品市場」というカテゴリーが生まれるにいたったわけです。

 

その「熱中症対策マーケティング」のお話はまた次回。

 

(続く)

宮内 尚弥投稿者 

宮内ナオヤです。プランニングとクリエイティブディレクションを担当。得意はコンセプトメイキングと、愛と情熱にあふれたプレゼンテーション。標準語、関西弁、中国語を操るトリリンガル。好きなコト&モノ:スキー、登山、カメラ、自転車、温泉巡り、鉄道、キーボード演奏、ファンクミュージック、スイーツ、白米。

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